ソルティードッグについて語る。  高田裕之(マスター)  2008-10-22 22:55:00  No.427

ウォッカのグレープフルーツ割り。ブルドッグのスノースタイル。

ソルティー・ドッグとは甲板員のこと。塩にまみれていることから。それはさておき、

村上春樹著「羊をめぐる冒険」上巻第5章3節「歌は終わりぬ」の次の4節の名前がこれだ。
「彼女はソルティー・ドッグを飲みながら波の音について語る」
羊をめぐる冒険の中でも、最も切ない場面だ。僕は3代目のジェイズ・バーに行ってジェイと話した後、
埋立地の中にあるかつての防波堤でビールを2本飲み、空き缶を投げて警備員に注意される。
あくる日、鼠からの手紙を渡すために鼠の恋人に会う。
(以下引用)
「お酒でも飲みませんか?」と僕は訊ねてみた。
「ウォッカをグレープ・フルーツで割ったのは何だったかしら?」
「ソルティー・ドッグ」
 僕はウェイターを呼んでソルティー・ドッグとカティー・サークのオン・ザ・ロックを注文した。
(引用以上)
そして、彼女は波の音について短い話を語った。
もう、海はないけれども波の音は時々聞こえるような気がする…。彼女は語った。
切ない場面だ。

多くの物事は終わってしまった。しかし、いくつかの何かがまだ未完了の状態でそこにある。
それらが手を差し伸べられる時を待っている。
いつかその時が来るのかも知れない。来ないのかも知れない。
しかし、手を差し伸べられる時を待っているいくつかの何かのために、僕は冒険を続ける。
http://irukakissa.com/cocktail/detail.php?id=233


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