サンセットドライバー(テキーラベースのロングカクテル)について語る。  マスター(高田裕之)  2008-02-05 14:46:00  No.418

「メキシコで流行のリゾートカクテル。テキーラベースの新しいカクテルとして注目されている。」
と、サントリーのサイトに書いてある。いかにもそれらしい。

テキーラには独特の芳香がある。情熱的と表現する人も居る。
初めて飲んだテキーラがストレートか、それに近い例えばテキーニのような
カクテルであったとすれば、好き嫌いが完全に分かれるようなスピリットだ。
そこで嫌いになった人は不幸である。努力しない限り、テキーラが一生嫌いになる。

同じことはジンにも言える。マティーニがジンの初体験であったなら、全く同じ状態になる。
ラムにもその傾向がある。ウォッカにはその傾向はない。

炭酸の入りのさっぱりした飲みやすいロングカクテルと言われてまず思い浮かぶのは、ジントニックだろう。
「それなら、ジントニックですね。」と僕が言った時に
「ジンは苦手でね…。」と言われたことが何度もある。僕は、
「それなら、ウォッカトニックにしましょう。」と言うことになる。

1980年代後半、巷のオシャレなカフェ&バーではビシッとキメた多くの若者たちが、
ドライマティーニをしかめっ面で飲んでいた。
ドライマティーニは一つのファッションアイテムだった。
それらのカフェ&バーからは、大量のジン嫌いとジン好きが排出された。
僕は幸いにしてジン好きとして排出された。
しかし、バブルの崩壊とともにショートカクテルも、ジン好き達も陰の薄い存在になった。
その後、ビール→ワイン→焼酎とお酒の流行が変遷しても、ショートカクテルの時代は巡って来ない。
僕は思うに、これはジン嫌い達のカクテルコンプレックスが一因なのではないか。
彼らのジンの初体験がジントニックであったなら、あるいはショートでもギムレットであったなら、
その後のお酒のブームの変遷は全く違った展開になっていたと思う。
ジントニックでジンをはじめて飲めば、ジン嫌いには99%以上ならないはずだから。
ジンには柑橘系の香りと甘味と酸味が、おそろしくぴったりハマるのだ。

話をテキーラに戻す。
テキーラにおそろしくぴったりハマるのは、ベリー系の香りと甘味と酸味だ。
ジンよりも、やや甘味に重点を置くほうが良いと思う。
その意味でこのサンセットドライバーには、まさにテキーラ好きを生み出すコンテンツがある。
すなわち、カシスのベリー香とオレンジの甘味、そしてレモンの酸味。
これらが情熱的なテキーラを最大限に飲みやすくしている。
ショートではオリジナルの「歌は終わりぬ」がこの組み合わせを使っている。
「歌は終わりぬ」は、カシスではなくクランベリーを用いる。

ところで、サントリーのサイトには
「カシスの赤い色合いは、夕暮れの海岸を風に吹かれながら走っているような気分にさせてくれる。」
と書いてある。なるほど、このドライバーというのは車を運転する人のことを言うのか。
しかし、飲酒運転はどうかと思いますよ。
僕はてっきり、オレンジジュースを入れるので、
スクリュードライバー(ねじ回し)をもじったものかと思っていたのですが違いますかね。

テキーラベースのロングカクテルでは、テキーラサンライズがあまりにも有名。
ローリング・ストーンズのミック・ジャガーが絶賛し、イーグルスのセカンド・アルバム
「デスペラード」にも同名の曲が収録されている。
テキーラサンライズはオレンジジュースにグレナデンシロップを入れる。
テキーラサンセットというカクテルもある。こちらはフローズンカクテル。
これは僕の勝手な憶測だが、サンセットドライバーをはじめて作った人は当初テキーラサンセット
と名付けたのではないだろうか。ところが、同名のカクテルは既にスタンダードとなっていたので、
こりゃまずいと思ってオレンジジュースを入れるからとりあえずドライバーをくっつけて
サンセットドライバーにしたと…。間違ってたらごめんなさい。

何が言いたいかというと、テキーラサンライズと双璧をなすテキーラベースのロングカクテルは、
テキーラサンセットではなくて、サンセットドライバーでしょって事が言いたいわけです。
ミック・ジャガーはテキーラサンライズを絶賛した。
僕はサンセットドライバーを絶賛する。
もっとも僕が絶賛したところでミックジャガーやイーグルスのような影響力は全くないけどね。
しかし、bird(邦楽R&B)のVacationというアルバムにサンセットドライバーという曲が入っている。
多分、このカクテルのことを歌っているように思う。こちらの影響力には期待できる。
http://irukakissa.com/cocktail/detail.php?id=189


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