ギムレット/Gimlet   ¥380       

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ベース : ジン
グラス : カクテルグラス
飲み切るべき時間 : ショート
炭酸 : なし
普遍性? : スタンダード
味の傾向 : 柑橘系,ベースの味重視
甘さ : さっぱり
色の傾向 : 緑,薄い色,透明
作り方 : シェーク
度数 : 24度(高い)
その他 : オシャレ,大人系,男が飲む系,定番・有名,物語がある
時と場合 : どんな時もOK,食前酒,いつの季節でもOK
何か特別な状況 : としては、ファッショナブルにキメたい場合に飲めばいいように思われる。
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  コメント  
「ロング・グッドバイ」 レイモンド・チャンドラー著 村上春樹訳 早川書房 という本がある。
この本は、「長いお別れ」というタイトルで、1950年代に清水俊二という人がすでに日本語訳している。
村上春樹は高校生の時にこの本を読んで以来、40年ほどにわたって折りに触れては手に取ってきた。
したがって、村上春樹はチャンドラーに少なからず影響を受けている。

この本の中で
「ギムレットを飲むには少し早すぎるね。」
という、あまりにも有名なキメの科白がある。
この科白によってギムレットというカクテルが脚光を浴びたとさえ思われる。
「この本を読んでいないバーテンダーはモグリだ。」
と誰かが言っていた。
読むか読まないかはモグリであるかどうかとは無関係だと思うが、
ともかく読むべきだろうと思って読んだ。

確かにこのキメの科白が出てきたのは物語のラスト・クライマックスで、印象的な言葉だ。

どういう意味なんだろう。時間的に早いということだろうが、バーがまだ開いていないというだけのことなのか、
まだその時期ではないということなのか。これは、何度も読んでみないことにはよくわからない。

物語は主人公である私立探偵フィリップ・マーロウの視点で進められ、
彼が心を通い合わせる友人テリー・レノックスを中心とするさまざまな人々との絡みのなかで
マーロウという人物がどういう人物なのか、だんだんとわかってくる。
そして読み終えたとき、フィリップ・マーロウをとても好きになっている自分に気付く。

このような手法について、村上春樹が45ページにわたって薀蓄を述べている。
僕は、文学的なことについてあまり興味は無いが、読んでいて退屈しなかったし、
とても楽しかった。

物語は別として、比喩が面白かった。
登場人物の科白は実にコジャレたもので、気の利いたツッコミやボケがが随所にある。

こういうところは日本の政治家も少しは見習ってもらいたいもんだ。
「接待を受けたことは、記録にも記憶にもございません。」
なんて言ってないで、
「いろんな金髪女に300回ぐらい接待されたよ。」
って言ってやればいいんだ。
その後の展開でオシャレなボケを連発すれば、 ワイドショーは数日間ネタに事欠かないし、みんな楽しめる。
「人生イロイロ、仕事もイロイロ。」
で乗り切った政治家が居たが彼はその後、島倉千代子さんに中元やお歳暮をちゃんと贈っているだろうか。
もっとも、この程度のボケは今(2008年3月)はもう通用しないだろうがね。

ところで、この小説のギムレットはコーディアルライムを使っている。
マーロウとレノックスがヴィクターズというバーでギムレットを飲んでいる時に、レノックスは以下のように言っている。
「こっちには本当のギムレットの作り方を知っている人間はいない。」
「ライムかレモンのジュースとジンを混ぜて、そこに砂糖をちょいと加えてビターをたらせば、
 ギムレットができると思っている。本当のギムレットというのは、ジンを半分と、ローズ社の
ライムジュースを半分混ぜるんだ。それだけ。こいつを飲むと、マティーニなんて味気なく思える。」

ローズ社のライムジュースは残念ながら手に入らない。
いるか喫茶バーではサントリーのライムジュースを使っている。
昨今ドライ志向で甘さ控えめのものが多いが、ギムレットに関して言えば、
ライムジュースはフレッシュよりもコーディアルのほうがずっといいと思う。
ただし、レノックスの言うように作ったら、これはいくらなんでもライムが勝ちすぎると思うので、
ジンとライムジュースの比は通常3:1にしている。2:1でもいいと思う。
もちろんレノックスバージョンのご希望があれば、1:1で作ります。

因みにギムレットのロングバージョン(ロック)がジンライムです。
ジンにはライムが似合います。

ベースがラムになるとダイキリです。
ウォッカならウォッカギムレットかスレッジハンマーです。
どれもショートの中のショート。すべておいしい。

  レシピ  
ジン45cc
ライムジュース15cc
以上をシェークして冷えたカクテルグラスに注ぐ。