カクテル豆知識 : 知ってて損はない基本的なことであり、かつ誤解や迷信が多いこと。随時追加。


     どうやって飲もうが自由だし、茶道みたいに細かなきまりがあるわけない。
     でも、知っていて、自慢できるほどのことではないけど、損もないカクテル豆知識。
     すみません、未だ4つしか書いていません。ぼちぼち書いていきます。

目次

1.ロングとショートの違いは何か。
2.カクテルの飾り(デコレーション)は食べるべきか?
3.ピナコラーダのストロー2本は何のため?
4.チェイサーのレシピ。



1.ロングとショートの違い。

 ロングは、長いグラスでショートは短いグラスと思っている人は結構居られるのではないでしょうか。上の写真で言えば、左から2番目がロングで他は全部ショートというふうに。
はっきり言ってそれは大きな間違いです。
ロングとショートは飲み切るまでの時間の長さのことです。距離的な長さではありません。つまり、ロング・タイム・ドリンク と ショート・タイム・ドリンク であります。
 「○○○マサラのおばさんみたいにうるさい事と言うなよ。」なんて言わないでください。僕はショート・カクテルをちびちび飲んでいる人に向かって
 「ちょっとそこのお兄さん、ショートは速く飲みなさいよ。」などと、注意したりはしません。お金払って飲んでるんだし、どう飲んだって自由です。
 それはさておき、上の写真では左の2つはロング、右の2つはショートです。それを見分ける最も簡単な基準は氷です。氷が入っていたらロング。入っていなければショートです。ビールベースやワインベースのカクテルの場合、例外的に氷がなくてもロングの場合はありますが、ジンやウォッカなどのスピリッツをベースとしたカクテルはほぼ例外なく氷のあるなしでロングとショートに分かれます。(ホットのカクテルは別として。)

 じゃあ、真ん中のはどうよ。ということですが、これは氷が1つだけ入っているので一応ロングです。僕は勝手にこのタイプをセミロングと言っています。オリジナルの165000もこのタイプです。
 つまり、飲みきるべき時間というのは、さめない時間ということです。氷が入っていれば、少なくとも氷が溶けきらないうちは薄くなりこそすれ、さめないですからゆっくり飲めばいいわけです。
 しかし、氷が入っていなければさめない時間はせいぜい15分~20分までです。だからショートは三口で飲めと言われるんですね。確かにショートカクテルは表面にシェークによってできた氷のかけらが残っているうちが一番おいしいと思います。でも、三口で飲んだとしても、急いで次の注文をすることはありません。そんなことしたら、30分で5杯ぐらい飲まないといけないし、その時点でぐるぐる回っちゃいます。しばらくチェイサーを飲んだりしながらお話を楽しんだりするのがよろしいのではないかと思います。それに、三口で飲まなければならないとも思いません。20分以内ならいいと思います。別に常温になっても気にならないのならば、それ以上でもいいでしょう。好みの問題です。
 概してロングはソーダやジュースで割ったものが多く、全体の量が多く、アルコール度数は低いです。ショートのほとんどはスピリッツなどの材料60ccをシェークして出来上がる量は75cc位です。そのように相場が決まっている。味はロングより濃厚であります。昨今、居酒屋さんにもカクテルがありますが、チュウハイなどほとんどはロングですね。あまり濃厚な味だと、食べながら飲むのには向かないからでしょう。たしかにショートは味を主張しますから、食前や食後に飲むべきとされるものが多いです。アルコールや味が強過ぎると思われる場合はチェイサー(水:後述)を飲んで口直しをしながら飲まれるのがよろしいかと思います。
 いるか喫茶バーはショート・カクテルのレパートリーが全体の78%を占めます。ショート・カクテルを中心にカクテルメニューを構成しております。あまりショートカクテルになじみのない方も、お気軽にご注文いただけるようリーズナブルな価格設定にしておりますので、是非ご賞味ください。
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2.カクテルの飾り(デコレーション)は食べるべきか?

 はっきり言って、食べるべきです。食べられるものは食べるべきである。傘とかオレンジの皮やパイナップルの皮などはいくらなんでも無理ですが…。写真の左側のロングのように、スライスレモンとマラスキーノチェリーが一体化したようなのがありますが、これはレモンの皮ごと一口で食べてもらえば作る方としては作り甲斐があるというもの。
 もちろん、カクテルピンは食べてはいけません。のどに刺さります。
 いつ食べるかは全くの自由。いきなり食べても、最後に食べてもいいです。でも、飾りというものはマティーニのオリーブのようにそのカクテルにもっとも合うおつまみの意味合いがあるので、最後よりは飲みはじめか途中で食べた方がいいような気もします。
 グラスのふちにレモンやライムが切れ込みを入れて添えられている場合は、迷わず絞ってグラスの中に落とし込む。
 それから、食べた後のオレンジの皮やパイナップルの皮、カクテルピンなどはどのように処理するかですが、オレンジは皮をしぼれば香りが立っていいです。そしてそのままグラスに落とし込む。しかし、たべあとの見栄えが良くないと思うなら、小皿などに置いておけばいいです。
 その昔、かれこれ25年ほど前のカクテルブームの頃は、カップルでカクテルを飲んでいて女の子がカクテルの飾りを食べたら、「今夜はOKよ」という意味であるという不文律あるいは暗黙の了解事項があった。男の子達は、相手の女の子がおもむろにカクテルの飾りを食べるのを見て、「うぁ!よっしゃ!」と思ったものだった。今は無論全く通用しない。全然ダメ。トコトン無意味。これを読んでいる男の人がいたら、くれぐれも真に受けないように。そんなふうに思ったら、ただのカンチガイ男になるので要注意。何しろ四半世紀ほども前の昔話なのだから。
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3.ピナコラーダのストロー2本は何のため?

 カップルで仲良く一つのカクテルを同時に飲むためのものではありません。はっきり言って、全然違います。そんなことしてても、べつに問題はないし注意をされることもない。べつに自由。まあ、微笑ましければそれで良い。ハレクラニホテルではやらないほうがいいような気もする。先が二股に分かれているストローを見たことがありますが、それでやるのはOKです。あのストローは二人で同時に吸わないと全く飲めない。しかしよくもまあ、そんな不便なストローを作ったものだ。

 ところで、じゃあ、何のため?答えはいろいろ言われてますが、「予備」とか2本同時に吸うため。
 ピナコラーダに限らず、フラッペタイプのカクテルはクラッシュドアイスといって、細かい氷がつめてあります。こういうカクテルの場合、ストローに氷がつまりやすいので、つまった時の予備のためにもう1本のストローがあるわけです。プッと吹けば直りそうなもんですがね。また、フローズンダイキリに代表されるような、フローズンタイプのカクテルはシャーベット状になっていますから、なかなか吸えないわけです。マックシェイクみたいなもんですな。そういう場合は2本一緒に吸えば吸う力が半減するということです。
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4.チェイサーのレシピ。

 チェイサーってのは、おひやのこと。水。わざわざチェイサーなんて言わずに水って言えば良さそうなもんだ。実はチェイサーは本来、水とは限らない。車の名前にもあるように、チェイサーとは追撃者。追っかける人の意味。それで、ウィスキーのストレートやロックなど強いお酒を飲む場合、一口飲むごとに追っかけるように飲む物をチェイサーと呼ぶが、これは本来水に限らず、ビールやソーダの場合もある。しかし、日本では100%水。もし、チェイサーを注文して、
 「チェイサーは何になさいますか?」
 と聞くような店があったなら、それはよほどヘンテコな店だ。注文した人が、最初から水と言ってれば良かったと後悔するだけだ。
 ところで、僕がバーを始めた頃に祇園でバーテンダーをやっている若い人に手伝ってもらっていた。彼から聞いた話だが、彼がバーテンダーをやり始めて間もない頃、お客さんに
 「チェイサーください。」
 と言われて、先輩バーテンダーに
 「チェイサー入りました。」
 と言った。先輩バーテンダーは彼に、
 「作って持って行って。」
 と言った。彼はあわてて、
 「すみませんチェイサーのレシピ教えてください。」
 と言った。

     チェイサーのレシピ
 クラックドアイスを入れた8オンスコリンズグラスに水を入れ、ステアする。

 チェイサーは、強いお酒のストレートやロックに限らず、ショートカクテルを飲むときにも良いと思う。アルコール度数の高いものや、味の濃いものは一口ごとにチェイサーで口直しをするというのも有りだと思う。
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